レベルを上げて物理で殴ればいい

レベルを上げて物理で殴ればいい

脳筋をエンジョイする浅ゲーマーの手記

格ゲーを始めたきっかけの話

勢いで開設した

脳筋です。よろしくお願いします。

 

「最初の記事は自己紹介をしてみましょう」というはてブロさんの親切なアドバイスに則り、自分が対戦型格闘ゲーム、いわゆる格ゲーというやつを始めたときのことを書き連ねてみようと思う。

 

たぶん一般的なプレイヤーの方々からしてみればだいぶ異質というか異端というか正直「ナメてんのか」くらいのきっかけなので、寛大なお気持ちで読んでいただけると幸いです。

 

二年前のちょうど今頃、わたしはYou Tubeのオススメ欄にとある動画が上っているのを発見した。

名作GUILTY GEAR(以下GG)シリーズの、最新作の販促ムービーである。

 

GGは1998年に発売されてから根強い人気を誇っている人気タイトルで、ド派手なコンボやハイスピードで展開する痛快な戦闘システムのみならず、作り込まれた重厚感のあるストーリーやハードロック風のハチャメチャに聴き応えがあるBGMなどなど多岐に及ぶ魅力で長年に亘りファンの心を掴んでいる。

 

ここを書き出すとそれだけで記事が終わるので詳細はWikipediaとかで見てほしい。

 

当時わたしは格ゲーについて浅瀬どころか砂浜に打ち上げられみっともなくのたうち回るトドくらいの知識しかなかった。

プロゲーマーのウメハラさんという方がなんかすごいらしいとか、

海外では定期的に大規模な大会が催されておりオーディエンスは途轍もない熱気に包まれているらしいとか、

レバーを後ろに入れるとガードができるらしいとか、

ゲームセンターにおいて対戦に負けたからといって席を立たずに再びコインを投入する行為はマナー違反であるらしいとか、

ストリートファイターⅣに登場する「ジュリ」という女の子の必殺技がカッコよくて好きだとか、そんな程度の吹けば飛ぶようなもんであった。

 

ちなみにGGについては、もとよりタイトルは知っていた。友人が過去作のサウンドトラックを持っており、そこに収録されていた楽曲のひとつが若いハートにストライクだったためそこそこ鮮烈に覚えていたのである。プレイするには至らなかったので、キャラクターの名前とかビジュアルについてはほとんど覚えていなかったけれども。

 

前述の「最新作」というのは当時リリースされたばかりの「REVELATOR」であり、わたしが拝見したのはREVELATORから新規に追加された「レイヴン」と「琴慧弦」というキャラクターの性能紹介だった。

 

そのうちの前者、レイヴンにわたしは大きく人生を狂わされることになる。

 

そもそもその販促動画をマジメに見てみる気になったのは、たまたまレイヴンのボイスを担当している安元洋貴さんがわたしの中でベストオブええ声コンテスト性的にいやらしい部門の大賞を獲得している御仁だったからである。

 

そんな彼の新キャラとあっては、格ゲーという微妙に敷居の高そうな管轄外のジャンルであってもチェックせざるを得まい、とわたしは襟を正した。

 

だが、画面の向こうに繰り広げられた光景にわたしは目を丸くすることになる。

 

格ゲーなので、当然キャラクターは殴られたり蹴られたり飛び道具を食らったり必殺技で吹っ飛ばされたりする。その際には「ダメージを受けた時のボイス」が流れるのだが、一般的には「うっ」とか「ぐああっ」とかの痛そうに呻く音声が多い。多いというか大体おおよそ全部そうである。

 

ところがどっこい、この男。

こともあろうに「気持ちいい!!」と絶叫しているのである。

より正確に文字へ起こすなら「ンギモチィイイイッン!!」みたいな感じだった。

 

わたしは目の前で起こっている事態を飲み込むことができず「ひょっとしてわたしが知らなかっただけでGGとはハードSMを推奨するエッチなゲームだったのか?」などと本気で心配になりながら公式ホームページへ飛んだ。

このレイヴンという暫定ド変態についての委細を知るためである。

 

冒頭に記載した通りGGシリーズには他の格ゲーとは一線を画すと称しても過言ではない「重厚なストーリー」がある。そのために各キャラクターの生い立ちや信念、人となり、その他プロフィールについてもかなり緻密な設定が与えられているのだが、その中でもレイヴンはかなり特異な存在であった。

 

なんでも不老不死の体を持ち、かれこれ千年以上は生きているという。

そのうち「生きること」そのものに飽きてしまい、ありとあらゆる事象への興味が薄れ、やがて人間らしい感性を喪失した。

しかし唯一「痛み」だけは新鮮な刺激として感じられるため、ありとあらゆる苦しみを求めているのだと、ホームページの説明文にしっかりバッチリ書いてあった。

 

確信した。

アカンやつやと。

見たらわかる、アカンやつや、と。

わたしの中のお祭り男がワッショイしていた。

 

なにしろこちとら十年以上も厨二病を患っている身である。

何回目ともわからない十四歳を繰り返している末期患者である。

どんな名医も匙を投げ病院ごと裸足で逃げ出すであろうこの疾病にこんなキャラクターを与えられたら心なんてホイコラ動いてしまうというものだ。

 

そういった経緯でわたしはものの見事に暫定ド変態から確定ド変態へ昇格を果たしたレイヴン沼へダイブをキメた。

ここまで落ちれば自然と湧いてくる、プレイしてみたい、レイヴンを操作してみたい、という欲求。

 

しかし当時のわたしは某イカゲーにかまけていて、REVELATORをプレイするのに必要なハードであるPS4を所有していなかった。最新機種の方が映像も綺麗なんだろうなあと思っていたので、PS3版については検討しなかった。

 

そしてさらに「専用コントローラー」の問題もあった。

 

格ゲーというものを多少なりとも知っている方にはわかると思うが、このジャンルには専用コントローラーというものが存在する。

ゲームセンターの筐体を想像してほしい。先端にボールの付属したレバーと複数のボタンが並んでいるのを見たことくらいはあると思う。あれだ。あの形式のアーケード風コントローラーが広く市販されているのである。通称、アケコン専門店でなくとも、家電量販店でも大きいところならわりと普通に店頭に並んでいるのでよければ探してみていただきたい。

 

わたしはレイヴンへの劣情と自らの財布事情の間で会いたくて会いたくてしょうがない西野カナなんて比じゃないくらい揺れに揺れていた。レイヴン想うほど遠く感じて切ない気持ちでいっぱいだった。

 

あまりにも振動が止まらないので、とりあえず下見だけして精神を落ち着けよう、とわたしは販促動画を見た三日後にのそのそと近所のショッピングモール内にあるジョーシンへ向かった。

 

やばい。

欲しい。

 

逆効果だった。

その場で床を転がりたいほどにレイヴンと戯れたい欲望は高まっていた。ここにはPS4とREVELATORとアケコンが揃っている。夢の国だった。しかしさすがにわたしも大人なので心を鎮め、冷静に考え直し、その場を後にすることを決めた。帰る前に店員さんに在庫がどのくらいあるかだけを問い合わせて、購買計画を練る腹積もりだった。

 

それ、限定版あと一個なんですよ

 

大人だと思っていた自分は儚いまやかしであった。

気がつくとわたしはPS4とREVELATOR限定版とアケコンの箱を両脇に抱えて自宅方向へひた走るバスに乗り込んでいた。公共車両の座席をふたつ占領し、アヘ顔を晒す解き放たれたバカ。だがしかしこの人生において、あの時ほど晴れやかであった経験はそうそうない。

 

かくして格ゲーマーへの道を一歩踏み出したオタク女のその後についてはまた気が向いたら書いていきます。

今回はここいらで筆を置きます。

 

長々とした記事に最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。