最近キャラ変えをした話
どうも脳筋です。
前回の記事をツイッターで拡散していただき、より多くの方が閲覧してくださったようで、本当にありがとうございます。
わたしの記事をお読みくださったGUILTY GEAR(以下GG)プレイヤーさんが、ご自身を振り返って書かれた記事をご紹介いたします。格ゲーには人の数だけドラマがある。とても面白かったです。
そんなこんなで光栄なことにアクセス数がツイッターの影響で伸びに伸び、そこで恐らく多くの方が気になったかもしれない点について。
このブログにツイッターアカウントを連動していないのにそれ関係のネタを持ち出すのもアレだが、わたしのアカウントのアイコンは散々あれだけ推していたレイヴンではなく同タイトルに登場するメイちゃんという別の女の子キャラクターのイラストなのである。
これがまた描いていただいた絵師さんに土下座したいくらいかわいい。
そう、現在わたしはレイヴン使いではなくなっている。
今回はあんまり面白くないかもしれないそんな話をしようと思う。
ちょっとギルティから離れていた
去年の暮れから桜が淡く散り始めようかという頃まで、わたしはほとんどGGをプレイしていなかった。
ちょっと心身が参っていてゲームをやる余裕がなかったのである。
あまりにもグッタリしていたので、なにも手につかず、趣味筆頭のGGが楽しくなくなってしまうのはいやだと距離を置いていた。
ようやくギルティを再開しようかと重たい腰を上げつつあったわたしを待っていたのは三月頭に実施された「バランス調整」であった。
格ゲーを知らない方に向けて説明すると、この「バランス調整」とは「ゲームをより公平に、快適に楽しんでもらうためのゲーム内容の変更」である。
強い技の威力をちょっと弱くしたり、技が出るまでの時間を遅くしたり、はたまたその逆だったりと、対戦における偏りを減らすため不定期に行われるのが通例となっている、らしい。
GG以外の格ゲーをほとんど知らないので、他のシリーズにおいては一般的ではないのかもしれない。その辺りは不勉強を詫びるしかございません。
GGを始めてから、レイヴンはいわゆる「強キャラ」だなあと感じながら使っていた。
リーチの長い通常技とか、性能のいい投げ技とか、相手のガードを高速で揺さぶる連携とか、さらには遠距離からでも相手を牽制できる弾を持ち、出せる手札が多いキャラだった。もちろん弱点もあるにはあるのだけれど、当然のごとく弱点がないキャラなんていないので、それを加味しても充分に強い。
実際わたしはレイヴンを使っていながらレイヴンと対戦するのは苦手だった。
今も正直ランクマッチで当たる度に歯茎から血がスプラッシュマウンテンしそうなくらいである。
上手い人のレイヴンは本当に何をされているのかわからないまま対戦が終わる。それはどのキャラでも大概そうだけれど、レイヴンは特にこの「何をされているのかわからない」タイプの連携がとても強い。
上級者さんの見解については計り知れませんので何卒ご了承ください。
さらにこのレイヴン、実際に操作して「強い行動をただひたすら押しつけまくる」のがさほど難しくなく、わたしのような脳みその代わりにスライムが詰まっているタイプのアホでも初級者帯なら戦うことができた。
幸か不幸かその影響あって自分の脳みそに詰まっているのがキングスライムだと勘違いし、普通のプレイヤーが対戦を通じて自然と身につけていくはずの格ゲーの基礎が疎かになってしまった面もあるのだが、その言及はまた別の機会に。
その優秀さは前述のバランス調整後においても衰えておらず、現在の環境の中でもとてもよい仕上がりになっていると思う。レイヴンはいいぞ。
そんなレイヴン、具体的にどう変わったのかというとやれることの幅が大きく広がっていた。
その面で挙げるとするならば、レイヴンだけが持っている必殺技のひとつの仕様が変化したことでコンボが目覚ましく発展したことだろう。多くのレイヴン使いの熱心な追求によって、レイヴンの弱みであった「火力が出にくい」という点が、なかなかの勢いで上方へ向いたのである。
しかしそれには状況を的確に判断する能力が必要だった。
相手との距離や位置関係はもちろんのこと、
「興奮度」というレイヴンだけが持つ特殊ゲージ(当身技で相手の攻撃を受け止めたり、特定の必殺技をヒットさせると上昇する。何もしなければ時間経過で減少していくが、これが溜まっている間はその程度に応じてレイヴンが強くなる。もはやコイツがドMなのかドSなのか誰にもわからない)の状態によって連携が変わったりとか、
対象キャラクターによってコンボの内容をアレンジしたりなど(GGにはキャラクター毎に「体重」のような要素が与えられており、軽いキャラは標準よりも微細ながら高く吹っ飛んだり、重いキャラはその逆だったりする)した方がいいものもあるとかで、調べれば調べるほどに奥が深く、およそ「正解」と呼ぶに相応しい行動のレベルが一気にグッと上がったように感じられた。
それは今までの「覚えるべきコンボの種類が少なく、やることが限られていた」レイヴンにはなかった、大味ではない緻密な練習と積極的な考究の必要性の証明だった。
別にこれまで積み上げてきたものがムダになったわけでもないし、無理に新しい連携の数々を取り入れずとも相変わらずレイヴンは強かったのだが、わたしは思ってしまった。
胸に過ぎらせてしまった。
抱いてはいけない感情の黒い影を、自らの心のうちにハッキリと捉えてしまった。
めんどくせえ、と。
進化を遂げた推しからの遁走
レイヴンという明星が如くキラキラ輝く無限の可能性から惨めにも逃げ出したわたしは、ぼんやりと他キャラいじりを始めた。
中~遠距離に強くコンボが爽快で顔がいいアクセル、特殊な動きで相手を翻弄できる上に顔がいいベッドマン、どの技をとっても強力かつ顔がいいシン=キスク、技もストーリーでの活躍も悶えるほどカッコよかった顔がいいチップは動かしていたら知らないうちに死んでいたので早々に諦めた。女の子だと顔がいいラムレザルとか顔がいいミリアとかいろいろ触った。
このゲームほんと顔がいいキャラクターしかいねえな。
しかしそんなわたしの中には言葉にできないモヤモヤが渦巻いていた。
レイヴンにドチャクソな惚れ込み方をして、俗にいうキャラ愛でGGをスタートし、約2年もの間ずっと身内ワイワイの対戦も嵐のようなランクマッチもともに連れ添ってきたレイヴンを触る気がしなくなっていることに罪悪感を覚えていたのだ。
新しい連携を覚え、日を追うごとにメキメキ上達していくレイヴン使いのフォロワーさんたちを「すごいなあ」という憧れの目で見ながら、どうして自分にはそれができないのか、レイヴンの稽古をつけてくれた上級者の人たちに失礼じゃないか、と己の意志の弱さと適応力のなさを責めたりした。
こんな目的のないトレーニングをしているくらいなら、新しいレイヴンについて何かしらひとつでも得るための時間にした方が有意義なんじゃないかと本気で悩んでいた。
それを吹き飛ばしたのが、冒頭に名前の出てきたメイちゃんだった。
パワー・イズ・パワー
仲良くしていた知人にメイちゃん使いがおり、レイヴンをほとんど触っておらず迷走している旨を話したところ、そいつは「じゃあメイちゃん使いなよ!見せるから!」と言い、わたしをメイちゃんが持ちうるありとあらゆる手法を用いてボコボコにした。強かった。
メイちゃんはいわゆる溜めキャラ(一定時間レバーを同じ方向に入力して「溜め」状態を作っておき、それからボタンと組み合わせて入力することで発生する技を持つキャラクター)であり、難しそうだという先入観があったので、ぶっちゃけ敬遠していた。
しかし覚えれば覚えるほど、このメイちゃん、すごいのである。
特筆すべきはその火力。詳しくは是非ゲームをプレイして設定を理解してほしいのだが、メイちゃんは華奢な女の子ながら作中でもトップクラスの攻撃力を持っている。
ほんの数時間トレーニングモードにこもり、教えてもらったコンボをやってみて、わたしは呆然とした。
「ボタン5~6回しか押してないのに相手の体力ゲージ半分消し飛んだんだけど……」
そこからは夢中になってメイちゃんのコンボ練習をした。
レイヴンが多彩な手数で削るマシンガンだとするなら、メイちゃんは一発ドカンとデカいのをブチ込む巨大バズーカであった。今までに経験したことのない威力の武器を手にしたわたしは吹っ切れた。
いつかレイヴンに戻るかもしれないし、そうならないかもしれない。
けれど、いろんな方向からGGを楽しむことができれば最高だし、それはGGシリーズそのものやこれまでに自分がやってきたこと、同じゲームを一緒にプレイしてきた人たちへの恩返しになるんじゃないかと思った。
メイちゃんを始めて約一ヶ月、180戦ほどのランクマッチを経て15段まで来た。
レイヴンの最高段位が19段だったので、夢の20段を目指して精進したい。
GG勢の皆さん、機会がございましたら是非とも対戦お願いします。
今回もまた長くなってしまいました。
格ゲー以外のことも書きたいな。最近Fate / EXTELLA LINK買いました。ネロちゃん超かわいい。
それでは。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
初心者が格ゲーをやめかけた話
今日も書くぞ。どうも脳筋です。
前回の記事がたくさんの方に読んでいただけたようで幸甚の至りです。
なのでその続き、ド初心者が格ゲーを始めてどうなったかを記憶をたぐりつつ書いてみようと思う。もうだいぶ前なので細かいことは忘れているけれども、ただひとつ言えるのはわたしが今でも楽しく格ゲーを遊んでいるということ。それだけは嘘偽りない。
世にいう格ゲー、対戦型格闘ゲーム。もっとも一般に広く有名なのはストリートファイターⅡだと思う。波動拳、昇竜拳、という単語を耳にしたことすらない人はかなり少ないのではないだろうか。あんな感じの必殺技とかパンチやキックを交えつつ立ちはだかる相手を倒すのだ。言ってしまえばそれだけのルールなのだが、実際ジャンルの最前線に飛び込んでみるとそこには想像以上に奥深い世界が待っていた。
格ゲーの基礎
現在は格ゲーと一言に称してもかなり多数のシリーズが出ており、ゲームシステムはタイトルごとに千差万別で、それを一概にまとめきることは困難である。いろいろ調べていた当時のわたしは、チームを組んで3対3で戦う格ゲーもあることに衝撃を覚えたりしていた。
そんなこんなで非常にまとめることの難しい格ゲーだが、それを構成する基本的なシステムには共通するところが多い。
「攻撃」と「ガード」と「投げ」である。
大体の格ゲーはこの三つの要素のジャンケンで成り立っている。
「攻撃」は「ガード」されればほとんど意味をなさず、 かといって「ガード」を貫いてその場にとどまると「投げ」が通ってしまう。ただ「投げ」はゲームの種類やキャラクターにもよるがほとんど相手に密着した状態でしか入らないので、不用意に近づくと「攻撃」に負けてしまう。
ただ技の性能であったり、相手の攻撃に合わせてカウンターを狙ったり、ジャンプ移動や遠距離にも届く弾を放ったりなど他の行動が絡んできたりすると話が変わってくるので「1秒間に出す手が10個ぐらいあるジャンケン」みたいなハチャメチャな比喩になってくる。
相手が何をしたがっているか、次に打ってくる手はどれなのか。
相手が対戦中どのように動いてきたかの傾向や、お互いのキャラクターの強みを脳内で反芻しながら、それに勝利できる策をバトルの中で瞬時に練る。
おおよそ格ゲーとはそういうものだった。
わたしが参入したGUILTY GEARシリーズもそのご多分に洩れずそういったファクターのもとに成り立っていたが、しかし当初のわたしにそんな高度な「読み合い」を行う頭はなかった。ただレイヴン(前回記事参照)があまりにも愛おしいので画面の中で動いている様子を眺めたい、くらいの気持ちだった。
しかし格ゲーという魔境、そこまで甘くなかったのである。
はじめての対戦
ひと通りの動かし方とコマンド(特定のレバーとボタンの複合入力によって発生する各キャラクター固有のアクション)を覚え、早速わたしはオンライン対戦に乗り出した。GGにはロビーマッチというものがあり、詳細は省くが、要するに世界中の人々とインターネットを通じてざっくばらんに対戦ができるモードである。
オンライン対戦においてもっとも忌み嫌われるタイムラグを軽減するための対策をしっかりと行い、初心者しか入れない設定のロビーに入り、いざ台に座った。すぐに誰かがやってきてくれて、わたしはウキウキと新品のアケコンに両手を添えた。
結果はボコボコであった。
誇張でなく相手に触ることすらできない。一方的に殴り倒されて、何戦かしたのち、ディスプレイの向こうの相手は一礼してどこかへ去っていってしまった。
それから数人と対戦が発生したが、結果は同じく見るも無残なものであった。
悔しさや悲しさはなかった。ただ「わたしは場違いなのかもしれない」といういたたまれなさに耐えられず、そのままPS4の電源を落としてしまった。
便利な世の中なので、SNSからGGをプレイしている仲間と繋がることもできた。GGのオンライン機能には自身で小規模なロビーを作成し、IDやパスワードを設定して知り合いのみを集めて対戦する、といったものもあったので、それを活用してみた。
彼ら彼女らのプレイはわたしよりも遥かに上手く、ここでもやはり歯が立たなかった。対戦後にもらうアドバイスはかなり高度な技術や戦略を求められるもののように感じられ、わたしは飛び交う呪文めいた専門用語をコソコソとグーグルで検索したり幾度となく同じチュートリアルを繰り返して日々を過ごしていた。
そんな感じで、最初の数週間くらいは地獄のような負けっぷりだった。
対戦するのはもうやめてしまって、ストーリーモード(わたしが購入したGG REVELATORには約5時間ほどのハイクオリティなアニメ映像が収録されている。劇場版DVDにオマケで格ゲーがついてきたという評価も目にするほどで、過去作をあまり把握していなくても個人的にはものすごく面白かった)だけで満足するオタクになろうかな、とほんの少し思っていた。
それを変えてくれたのは、有志によって運営されるLINEグループへの加入だった。
格ゲー初心者がリタイアせずに済んだ理由
ある日、なにが発端だったかは覚えていないが、 ツイッターのフォロワーさんから「初心者歓迎のLINEグループがあって、上級者の方々に教えてもらったりもできるから、入ってみないか」というお声が掛かった。
わたしはちょっと悩んだ。そういったコミュニティに参加したことがなかったので不安だったのだ。しかし入退会は自由で、かなり頻繁に対戦も発生しているというので、思い切って参加希望のメッセージを送ってみた。
結論からいうと、大正解だった。
こればっかりは人それぞれなのでなんとも言えないが、わたしはこのLINEグループがなかったらとっくのとうに諦めてGGをやめてしまっていたと思う。現在は諸事情でこのLINEグループからは離れてしまっているけれども、そういうタイミングがあったら戻りたいなと考えている。
格ゲーの基本的な知識から始まり、さらにはわたしのレベルに合わせて「この状況ならこうした方がいい」「こういう連携を覚えましょう」とかさまざまなことをご教授いただいた。
あまりにもわたしがヘタクソだったため、最初にもらった講師陣からのアドバイスが「格ゲーというのは相手を攻撃して倒すゲームです。殴りましょう」だったのは鮮明に覚えている。
インターネットの波間から与えられる大量かつ一方的な情報を処理しきれず、揉みに揉まれまくっていたわたしにはこれが本当にありがたかった。そこで初めてトレーニングモードの効果的な使い方を知った。
そしてなにより、そこでは「対戦が成立した」のである。
正しい意味で同格のプレイヤーさんが集まっていたので、やりたいことをやられっぱなしということがほとんどなかった。勝ったり負けたりできた。それが嬉しかった。
もしもこの記事を読んでくださっている中に「格ゲー始めてみようかな」という方がいらっしゃったら実力が拮抗した対戦相手を探しておくといいと思う。それが難しいのかもしれないけれど、そういった仲間がいるといないとでは格ゲーの楽しさは大きく変わってくるんじゃないだろうか。
そういった意味でわたしはギルおじ(ギルティおじさんの略。昔から継続してGGシリーズをプレイしている猛者のこと)を筆頭に、長く格ゲー界隈にいる人々を尊敬している。
今ほど便利なオンラインモードなんてない。
対戦したきゃ黙ってゲーセン行って100円入れろ、あとは知らん。
有益な情報の収集も共有も、今よりずっと難しい。
そんな時代からずっと積み重ねてきたものがあるというのは「たかだかゲーム」とかそういう垣根を颯爽と乗り越えて素直にカッコいい。胸が熱くなる。
GG同志と大会や対戦会などを通じて飲みに行ったりすることが増え、その席で「前作のこのキャラこうだったよな」「このキャラは最新作にまだ出ていないから追加してほしいよな」「どうせお前またあのキャラでこういうハメ方をするんだろう」みたいな会話をしているのを目にすると、とても素敵だなあ、と思う。
話が逸れた。
そんなこんなでわたしは格ゲーを楽しんでいる。それはひとえに毎日のようにオンライン対戦に付き合ってくれたり、地元のイベントで顔を合わせて話に付き合ってくれる年齢も性別も仕事も住んでいるところもバラバラな格ゲー仲間の皆様のお陰である。
いつもありがとうございます。
覚醒技をガードされて逆ギレしたり、ジャンプ一点読みの空投げに声を荒げたりしてごめんな。
やめないけど。
この記事を書きながら、格ゲーをやっていて感じたこととか、また別の壁にブチ当たった時の記憶とか、最近になって使用キャラを変更したとか、いろいろ思い出されてきたのでまたひとつひとつまとめていこう。これヤバいな、無限に書けるな。
前回に引き続き長々とした文章でしたが、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
次の記事も是非よろしくお願いします。
格ゲーを始めたきっかけの話
勢いで開設した。
脳筋です。よろしくお願いします。
「最初の記事は自己紹介をしてみましょう」というはてブロさんの親切なアドバイスに則り、自分が対戦型格闘ゲーム、いわゆる格ゲーというやつを始めたときのことを書き連ねてみようと思う。
たぶん一般的なプレイヤーの方々からしてみればだいぶ異質というか異端というか正直「ナメてんのか」くらいのきっかけなので、寛大なお気持ちで読んでいただけると幸いです。
二年前のちょうど今頃、わたしはYou Tubeのオススメ欄にとある動画が上っているのを発見した。
名作GUILTY GEAR(以下GG)シリーズの、最新作の販促ムービーである。
GGは1998年に発売されてから根強い人気を誇っている人気タイトルで、ド派手なコンボやハイスピードで展開する痛快な戦闘システムのみならず、作り込まれた重厚感のあるストーリーやハードロック風のハチャメチャに聴き応えがあるBGMなどなど多岐に及ぶ魅力で長年に亘りファンの心を掴んでいる。
ここを書き出すとそれだけで記事が終わるので詳細はWikipediaとかで見てほしい。
当時わたしは格ゲーについて浅瀬どころか砂浜に打ち上げられみっともなくのたうち回るトドくらいの知識しかなかった。
プロゲーマーのウメハラさんという方がなんかすごいらしいとか、
海外では定期的に大規模な大会が催されておりオーディエンスは途轍もない熱気に包まれているらしいとか、
レバーを後ろに入れるとガードができるらしいとか、
ゲームセンターにおいて対戦に負けたからといって席を立たずに再びコインを投入する行為はマナー違反であるらしいとか、
ストリートファイターⅣに登場する「ジュリ」という女の子の必殺技がカッコよくて好きだとか、そんな程度の吹けば飛ぶようなもんであった。
ちなみにGGについては、もとよりタイトルは知っていた。友人が過去作のサウンドトラックを持っており、そこに収録されていた楽曲のひとつが若いハートにストライクだったためそこそこ鮮烈に覚えていたのである。プレイするには至らなかったので、キャラクターの名前とかビジュアルについてはほとんど覚えていなかったけれども。
前述の「最新作」というのは当時リリースされたばかりの「REVELATOR」であり、わたしが拝見したのはREVELATORから新規に追加された「レイヴン」と「琴慧弦」というキャラクターの性能紹介だった。
そのうちの前者、レイヴンにわたしは大きく人生を狂わされることになる。
そもそもその販促動画をマジメに見てみる気になったのは、たまたまレイヴンのボイスを担当している安元洋貴さんがわたしの中でベストオブええ声コンテスト性的にいやらしい部門の大賞を獲得している御仁だったからである。
そんな彼の新キャラとあっては、格ゲーという微妙に敷居の高そうな管轄外のジャンルであってもチェックせざるを得まい、とわたしは襟を正した。
だが、画面の向こうに繰り広げられた光景にわたしは目を丸くすることになる。
格ゲーなので、当然キャラクターは殴られたり蹴られたり飛び道具を食らったり必殺技で吹っ飛ばされたりする。その際には「ダメージを受けた時のボイス」が流れるのだが、一般的には「うっ」とか「ぐああっ」とかの痛そうに呻く音声が多い。多いというか大体おおよそ全部そうである。
ところがどっこい、この男。
こともあろうに「気持ちいい!!」と絶叫しているのである。
より正確に文字へ起こすなら「ンギモチィイイイッン!!」みたいな感じだった。
わたしは目の前で起こっている事態を飲み込むことができず「ひょっとしてわたしが知らなかっただけでGGとはハードSMを推奨するエッチなゲームだったのか?」などと本気で心配になりながら公式ホームページへ飛んだ。
このレイヴンという暫定ド変態についての委細を知るためである。
冒頭に記載した通りGGシリーズには他の格ゲーとは一線を画すと称しても過言ではない「重厚なストーリー」がある。そのために各キャラクターの生い立ちや信念、人となり、その他プロフィールについてもかなり緻密な設定が与えられているのだが、その中でもレイヴンはかなり特異な存在であった。
なんでも不老不死の体を持ち、かれこれ千年以上は生きているという。
そのうち「生きること」そのものに飽きてしまい、ありとあらゆる事象への興味が薄れ、やがて人間らしい感性を喪失した。
しかし唯一「痛み」だけは新鮮な刺激として感じられるため、ありとあらゆる苦しみを求めているのだと、ホームページの説明文にしっかりバッチリ書いてあった。
確信した。
アカンやつやと。
見たらわかる、アカンやつや、と。
わたしの中のお祭り男がワッショイしていた。
なにしろこちとら十年以上も厨二病を患っている身である。
何回目ともわからない十四歳を繰り返している末期患者である。
どんな名医も匙を投げ病院ごと裸足で逃げ出すであろうこの疾病にこんなキャラクターを与えられたら心なんてホイコラ動いてしまうというものだ。
そういった経緯でわたしはものの見事に暫定ド変態から確定ド変態へ昇格を果たしたレイヴン沼へダイブをキメた。
ここまで落ちれば自然と湧いてくる、プレイしてみたい、レイヴンを操作してみたい、という欲求。
しかし当時のわたしは某イカゲーにかまけていて、REVELATORをプレイするのに必要なハードであるPS4を所有していなかった。最新機種の方が映像も綺麗なんだろうなあと思っていたので、PS3版については検討しなかった。
そしてさらに「専用コントローラー」の問題もあった。
格ゲーというものを多少なりとも知っている方にはわかると思うが、このジャンルには専用コントローラーというものが存在する。
ゲームセンターの筐体を想像してほしい。先端にボールの付属したレバーと複数のボタンが並んでいるのを見たことくらいはあると思う。あれだ。あの形式のアーケード風コントローラーが広く市販されているのである。通称、アケコン。専門店でなくとも、家電量販店でも大きいところならわりと普通に店頭に並んでいるのでよければ探してみていただきたい。
わたしはレイヴンへの劣情と自らの財布事情の間で会いたくて会いたくてしょうがない西野カナなんて比じゃないくらい揺れに揺れていた。レイヴン想うほど遠く感じて切ない気持ちでいっぱいだった。
あまりにも振動が止まらないので、とりあえず下見だけして精神を落ち着けよう、とわたしは販促動画を見た三日後にのそのそと近所のショッピングモール内にあるジョーシンへ向かった。
やばい。
欲しい。
逆効果だった。
その場で床を転がりたいほどにレイヴンと戯れたい欲望は高まっていた。ここにはPS4とREVELATORとアケコンが揃っている。夢の国だった。しかしさすがにわたしも大人なので心を鎮め、冷静に考え直し、その場を後にすることを決めた。帰る前に店員さんに在庫がどのくらいあるかだけを問い合わせて、購買計画を練る腹積もりだった。
「それ、限定版あと一個なんですよ」
大人だと思っていた自分は儚いまやかしであった。
気がつくとわたしはPS4とREVELATOR限定版とアケコンの箱を両脇に抱えて自宅方向へひた走るバスに乗り込んでいた。公共車両の座席をふたつ占領し、アヘ顔を晒す解き放たれたバカ。だがしかしこの人生において、あの時ほど晴れやかであった経験はそうそうない。
かくして格ゲーマーへの道を一歩踏み出したオタク女のその後についてはまた気が向いたら書いていきます。
今回はここいらで筆を置きます。
長々とした記事に最後までお付き合いいただき、誠にありがとうございました。